”発達障害”は、この言葉を知らない人がいないぐらい、認知度が高くなっています。
では、それがどのようなものかを詳しく知っている人は、どのくらいいるのでしょうか。
ここでは、発達障害のことと、その対応の基本的なことをひとつ紹介します。
学校生活で、発達障害の可能性がある児童
2022年文部科学省の調査※ では、教員による判断で、通常学級に在籍する小中学生のうち、8.8%が「学習や行動面で著しい困難を示し、発達障害の可能性がある」とされています。
学年で見ていくと、一番多いのは、通常学級の小学1年生と2年生です。どちらも推定値で12%以上が学校で著しい困難があると答えています。
医師ではなく、教師が、学校という場での学習や行動面についてだけで判断したものです。障害の数ではありません。
とはいえ、小学1~2年生は、20人学級なら2~3人、30人学級なら3~4人が著しい困難があるのです。
おそらく、著しい困難とまでは言えないがやりずらさのある子も複数いると思います。合わせるとどのぐらいになるのでしょう。
これは、どんな優秀な教師であっても、一人で対応できない状態だと思います。
※令和4年12月 13日 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」
保護者のASD認知度
発達障害のひとつである自閉スペクトラム症(ASD)について、「ASDと子育て実態調査」※というのがあります。
それによると、典型発達の子を持つ保護者の約80.7%が、ASDという言葉や存在を「知っている」と答えています。
ただ「詳しく知っている」と答えたのは、典型発達児の保護者では5.9%。
一方、ASDの子を持つ保護者で「詳しく知っている」と答えたのは約59.1%でした。
※博報堂こそだて家族研究所、株式会社 LITALICOが共同https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0531776_01.pdf
子どもがASDの診断を受けるまでは、詳しく分からない人がほとんどという結果です。
発達障害と思えるエピソードを探してしまう
では、自分の子どもが発達障害かも? と思っている保護者はどのくらいいるのでしょう。そういう調査はみつけられませんでした。
ところで、何か気になることがあると、無意識でその心配を肯定しそうなエピソードを探していることが少なくありません。
たとえば、子どもの怒りっぽさが気にかかると、怒っているエピソードが目に付くようになります。
発達障害についても、同じで、発達障害にあてはまりそうなエピソードが目につきやすくなります。
これは、確証バイアスと呼ばれ、自分の考えに合うものだけが頭に残り、そうではないことを重要に思えないという傾向によるものです。
でも、目が肥えて、前より気付くようになることもありえるので、すべてが確証バイアスともいえません。
発達障害を修正しようとして陥る悪循環
確証バイアスであろうと、本当に発達障害であろうと、いったん疑うと、発達障害に関連しそうな困りが増えて感じます。
そして、大切な子どもに関することなので、行動を修正したくなるのが普通です。
その結果、子どもへの注意が増えるとどうなるでしょうか。
→子どもの行動は簡単に変わらないので、保護者のイライラが増えます。
→子どもの反発が起きやすくなります。
→子どもが不安定になります。
→気になる行動が本当に増えていきます。
→さらに注意が増えます。
もちろん全てがこの悪循環になるわけではありませんが
このような流れになりやすいのです。
こうなる前に、客観的に判断ができる医療機関で、検査を受ける時期なのかもしれません。
それと同時に、子どもとの付き合い方について考える時期でもあります。
ASDの子どもをジャッジせず、行動の理由をみつける
おすすめは、子どもの行動の理由に心を向けることです。
たとえば、子どもが、皆が話を聞いている場面で怒りだしたなら…
- 話をしている人と何かもめごとがあったのではないか
- 話を聞き始める前に、何かあって、切替えできないのか
- まったく関係のないことで、イライラし、怒っているのではないか
他にもたくさん考えられます。
大切なのは、自閉スペクトラム症かどうかに注意を向けず、
いったん、子どもに何がおきているのかに注意を向けることです。
ある子は、出かける準備をしていて、いきなりかんしゃくを起こしました。
まつ毛が目に入って痛かったのです。
また、ある子は、いきなりAくんの後ろから強く頭をたたきました。
それは、A君が、後ろから見て、数か月前に小突かれたことが頭に浮かび、今だ! と思ったからです。
理由が分かると、呆れることもありますが、衝動や気分だけで行動をしているのではないこと。理由があったことを理解するのです。
そして、落ち着いてから、その子のこころに残っていた悔しさや悲しさの片づけを手伝う必要があります。
ふさわしい行動を教えるのは、理解したあとです。
子どもの対応を手伝ってくれる理解者を増やす
でも、こういう対応、身近で接している人にとって、かなりむずかしいことです。
父親、祖父母、叔父、伯母など、少し心の距離がある人のほうが、気持ちを落ち着けやすいようです。
また、相性があうカウンセラーをみつけられるなら、カウンセリングも子どものきもちを支え、理解度を深めていく助けの一つです。
子どもを対象に書きましたが、夫、妻、友人など、大人の発達障害の場合も基本は同じです。
発達障害でやりにくさがある人の、理解者が増えていきますように願っています。
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