こんばんは。
心理士の風間です。
人にトラブルはつきものです。
ASDの人の場合は、トラブルの発端が、”周囲の人にとっては理解しがたい行動”のことが少なくありません。
また、ASDの人にしてみると、相手が訴えていることについて、納得できないときがあります。
それで、家族など身近な人が、トラブルの間に入るのですが、なかなか噛み合わず、
ASDの人が、逆切れしたり、落込んでしまうこともあります。
そこで、ASDの人に、選択肢のひとつとしてカウンセリングを考えることがあります。
この記事は家族向けです。
ASDの人がカウンセリングに興味をもつか?
そもそも、ASDの人は、カウンセリングをしたいと思うのでしょうか。
あえて、知らない人に会おうとするのでしょうか。
もし勧めると、ASDの人は「別にいい」「そんな意味のないことしない」と断わるかもしれません。
でも、そのASDの人が、カウンセリングを意味ある時間と感じると、積極的に活用します。
それは、興味をもつとは少し違い、自分の必要とするものを得たいと思うからのようです。
困っていないASDの人が、カウンセリングに行くのか
では、ASDの人がカウンセリングで得たいものがないときは、どうするのでしょう。
そんなときは、
『「周りの人が困っている」ことが自分の困り』になる方向がスムーズかもしれません。
たとえば、ASDの夫なら、
妻は「あなたのことが理解できない」と実家に帰ってしまった。
→どうしてこうなるのか分からないが、別れたくないので困っている。
ASDの子なら、
お母さんは「ぼくが先生に注意されてから、おやつを買ってくれない」
→自分のほしいものが買ってもらえなくて困っている。
あまりに単純な例ですが、
自分の生活がやりにくくなると自分の困りになるという考え方です。
その人にとって自分ごとになれば興味を示し、話合いを始められます。
この自分ごとが増えていくことが、ASDの人が適応していくときのポイント。
こだわりは、動いていくことがある
こだわりは、絶対変わらないようでいて、意外とガラリと変わることもあります。
絶対、黒以外の服は着ないと言っていたのに、
推し愛用の靴にオレンジのラインをみつけてから、急にオレンジの服が好きになるとか。
歴史は絶対に勉強しないと言っていたのに、歴史まんがはたくさん読んでいる。でも歴史は嫌いで勉強はしないと言っているとか。
これらは、違う方向からの知識や感覚が入り、枠組み変わるからかもしれません。
ただ、それは、なにかを提案してから、数日後、数か月後、数年後になることはありますが。
ASDの人の本音は人が好き
ほとんどのASDのある方は、基本的に、人が好き。
優しくて、純粋で、正直すぎて、人にこころを開きすぎるぐらいです。
そう見えないのは”分かってもらいたいという思いの薄さ”というのが私の印象です。
こちら、こだわり行動が変わるのを見ると、
ASDの人は、自分の考えのつじつまをなんとか合わせてでも、
こちらの意図に沿うように、切り替えていると感じることがあります。
これは、『認知特性のひとつとして、情報処理の遅さがある』ことと
人の真意がわかりにくく、いつも不安にさらされており、本能的に身を守って変わることへの抵抗をしているようにも思います。
したがって、無理強いはしないほうがよいのです。
また、先回りして助け過ぎると、守りを固くしてしまうかもしれません。
要求されても、こちらができないことはやらずに淡々と接するのがおすすめです。
また、一度誘いを断られても、一生だめと重く受け止めないほうが、ゆるんでくるようです。
カウンセリングに誘うことについての話から始めましたが、
何かに目を向けてほしいことがあるとき、この考え方を応用することが多いです。
少しずつ世界を広げる
すべての人に言えることですが、安心を感じることがスタート。
対等に近い関係になれるだれか(友人、支援者、カウンセラーなど)とつながること。
そして、ASDの人が、何が気になり、何を大事にしているのか、しっかり気付くのが大きな一歩。
何よりも大切なのは、ASDの人を分かってくれる人がいる実感です。
いろいろな人と関わることで、いろいろな情報がはいります。
自分と人の考えは違うことも、身体で分かるようになり、集団に入る足がかりになることが期待できます。
行きたいところ、ほしいもの、やりたいことなどでてきて、自分の好みで選び、行動範囲が広がっていきます。
人との出会い、つながりってほんとうに大きな力。
人によって引っかかりが違います。ぜひ、意見、感想を、問合せ からお知らせください。