私がカサンドラになるなんて、相手はADHDでした

カサンドラ症候群という言葉をきいたとき

カサンドラ症候群とは、パートナーの共感性の低さなどが原因で、心の通い合いが難しいときにおこる心身の不調のことです。

話しても伝わらない。分かってもらえない苦しさ、悲しさ、むなしさ、孤独。

そういうときに、「カサンドラ症候群」という言葉をきき、「そういうことか」と思い当たったという方もいるかもしれません。

カサンドラ症候群の背景には、ASDだけではなく、ADHDもあてはまります。

改善しようと取り組むのは、いつもこちら側

病名や障害かどうかに限らず、長く話が通じない相手と過ごしていると、

いつまでたっても、こちらが行動や考えを修正しがちになります。

相手の気持ちをくみとり、どうしたら分かってもらえるのか、ときにはこちらが行動を反省するときもあります。

そうすると、わたしの感覚間違っているのだろうかと自信がなくなり、自分自身がわからなくなってしまうこともあるのです。

カサンドラ症候群、相手がASDのときと、ADHDのときの違い

相手に話が通じず、話し合いにならない。

これはASDにもADHDに共通していますが、

パートナー側の「しんどさ」の質は、ASDとADHDでは、違う気がしています。

ASDは、そもそもの前提が相いれない感じで、こちらの状況を説明しても、相手に言いくるめられるとか、相手が切れて言葉にできないなど、分かり合えない感じです。

むなしさとか孤独感がじわじわきます。

ADHDでは、「また同じこと?」という『ぬかに釘』のイライラ感。

もちろん、人によって違いが大きいですし、ASDとADHD両方の特性がある場合もあります。そうなると、パー振り回は、振り回されっぱなしです。

ADHDのパートナーがいるわたしは、どうしたらいいのか

これは、友人からの質問です。

わたしの答えは、
「カウンセリングで、相手ではなく、自分に目を向けて、どうしたいのかみつけていくの。

でも、まずは、自分がどれだけ頑張ってきているのか、傷ついているのかも分からなくなっているから自分を癒しながらね。

そうすると、今より相手に伝えやすくなる。

そして、気持ちが見えやすくなって、自分たちに合うやりかたがみえてくるから。

どのタイミングでもいいから、パートナーも一緒にカウンセリングに行けたらいいよね。

「どうして謝ってくれないの?」ADHDのパートナーとの暮らし

これから具体例を紹介します。その前に、たいへんな思いをしているあなたに、サポートの仕方を伝える形になってしまうことをお許しください。

パートナーは言葉で言うだけでは伝わらず、変わらないので、パートナーと生活しやすくするには、こちらの行動でパートナーの行動を促していくのが有効だからです。

それでは、クリエイティブだけど、ADHDの困りごとが多いパートナーとの例です。

「ごみはゴミ箱に捨てて」と何度も言ってるのに、いつもやらない。

「なんなのこの人、話きいている?」 「どうして私がいつもやるの」 「子どもの方が言うことをきく」

普通、こうなりますよね。

パートナーは、あなたの気持ちが分かっていないのではないし

話をきいていないのでもないと思います。

やったほうがいいことも、おそらく、分かっているでしょう。

ただ、頭の中がごちゃごちゃ、になっている…

これは、机の上に書類、おやつ、スマホ、筆記用具、メモ、全部が重なりあっているようなもの。

そういうときに、スマホの通知がくる、ドリンクを飲む、気になるゲームが目に入るなど、次々と心を奪われて、ごみ捨てが、埋もれていく…

それを繰り返しているようです。

ADHDは、気持ちが分かる方が多いです。申しわけないとは思うようです。

でも、悪いと思っていないように見えてしまいます。

ゴミが散らかっているのは、電話がきたから、暑いから、ごみ箱の色が目立たないからなど、言い逃れではなく、本気で思っているように見えます。

私は、こうした方をひそかに「謎の自信をもった人」と呼んでいます。
一見、根拠がなさそうですが、その自信が、実は日々を乗り越える力になっていることもあります。

もしかしたら、なにかのせいにすることで、なんとか自分を保っているのかもしれません。

だからこそ、その自信を傷つけるような言い方には注意が必要になります。

やることが見えにくくなっていることが、取りかかれない理由の一つかもしれません。

「今やること」を、今やりやすい形でさりげなく整え、「やってみようかな」と思えるような雰囲気になると、少しずつ行動が進んでいくことがあります。

ADHDのパートナーとどう向き合う?

「あなたはどうしてほしいのか」に軸を置くことを意識することです。
落ち着いて、相手に振り回されないように関わるのです。そのなかで、二人なりのやり方を見つけられることがあります。

このようなサポート的な関わりがむずかしいときは、すでに傷つきすぎているのかもしれません。
限界を超える前に、あるいは感覚が麻痺し、一生離れられなくなる前に、いったん距離をおくことをおすすめします。

そして、自分自身のつらさ、傷にゆっくり向き合い癒していく時間をとると、自分の気持ちが見えてくる方が少なくありません。

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